足元と、体の話|「裸足は体にいい」

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靴下をつくる会社が、「裸足は体にいい」と言う。
妙な話に聞こえるかもしれませんが、これが正直なところです。

素足で床を踏む感覚は、どこかほどけるような気持ちよさがある。
締めつけから離れて、足の指が広がって、今日一日から、すこし解放されるような気持ちよさ。

足裏を刺激するといい、土の上を歩くといい。健康法としても広まっている考え方です。

結論から言うと、それは正しい。裸足には、体にとって本当に大切なメリットがあります。
ただ、靴下をつくってきた立場から、もうひとつだけ正直に伝えさせてほしいことがあります。

そもそも、人間の足は「裸足前提」でできている

人類が靴を履き始めたのは、進化の歴史から見れば、ごく最近のことです。
それ以前の長い時間、足は裸足で地面と直接つながってきた。

そのため、足にはもともと、こんな機能が備わっています。
・地面の状態を読み取り、脳へ情報を送る
・衝撃を吸収し、全身への負担を分散させる
・バランスを保ち、姿勢を調整する

足裏には、触覚・圧覚・温度感覚を受け取る神経が密集しています。
目や耳と同じように、体の外の情報を集める「感覚器官」です。

ところが靴やスリッパで常に覆われていると、この情報入力が極端に減ってしまう。
足が本来持っている機能が、少しずつ使われなくなっていきます。

裸足で過ごすメリットは、本物です

足の指が本来の動きを取り戻す
靴の中で窮屈に過ごしてきた足の指は、裸足になることで自然に広がります。指でしっかり地面をつかむ・踏ん張るという動きが戻ることで、歩く力の土台が整ってきます。浮き指(指が地面につかない状態)の改善にもつながるとされています。

土踏まず(アーチ)が目覚める
足には3つのアーチがあります。内側の土踏まず、外側の縦アーチ、そして横アーチ。これらは歩行中の衝撃を吸収し、全身への負担を和らげるクッションの役割を担っています。裸足で立つと、足裏全体で地面を感じ、アーチを支える筋肉が自然に働きはじめます。

姿勢が整いやすくなる
足裏からの情報は、膝・股関節・骨盤・背骨へと連動しています。裸足で立つことで重心の位置が安定し、反り腰や猫背に気づきやすくなる。姿勢は「意識して直す」ものではなく、足元から自然と整っていくものです。

膝・腰への負担が減る
足の機能が低下すると、歩くたびの衝撃を足がうまく吸収できず、膝や腰がその代わりを担うことになります。裸足で足本来の機能を取り戻すことで、関節への負担を減らすことにつながります。

血行がよくなり、疲れにくくなる
裸足で歩くことで足裏の筋肉がよく使われ、血液を心臓へ戻すポンプ機能が高まります。夕方のむくみや冷えが和らいだという声が多いのは、このためです。

「気持ちよかったのに夕方に疲れる」のはなぜか

裸足で過ごした日の夕方、なんとなく足が重い。
気持ちよかったのに、なぜだろう。

その答えは、現代の生活の中にあるかもしれません。
クッションの厚い靴、平らなフローリング、エスカレーターや車—
気づかないうちに、足が「自然に使われる」機会は日常からずいぶん減っています。

思い返してみると、今日一日、足の指で地面を踏ん張った瞬間があっただろうか。
土踏まずがしっかり使われた感覚があっただろうか。足裏が、何かをちゃんと感じ取っていただろうか。

足は、使われないと、少しずつ力を手放していきます。
そして、久しぶりに「使おうとした」とき、うまく応えられない。

裸足になっても、足がすぐには動けない。衝撃が分散されず、膝や腰にそのまま届いてしまう。
夕方の重さは、頑張りすぎた疲れではなく、足が「久しぶりに仕事をしようとした」ときの戸惑いかもしれません。

裸足が体にいいのは、本当のこと。
ただ「裸足にさえすれば大丈夫」ではなく、足自体を育てることが先にある—
靴下をつくりながら、そう考えるようになりました。

裸足の味方は、靴下だった

靴下をつくる会社が言うのも妙な話ですが、裸足で過ごす時間も大切にしてほしいと思っています。
ただ同時に、こんなことも考えています。

一日のうちで足と最も長く一緒にいるのは、靴でも裸足でもなく、靴下です。

起きてから寝るまで、多くの人が8時間以上を靴下の中で過ごしている。
その時間が、足にとって「何もしていない時間」なのか。
それとも「足を育てる時間」になれるのか。

足を守るだけでなく、足の自然な動きを妨げず、余計な負担をかけない。
そういう靴下のあり方を、鈴木靴下はずっと追いかけてきました。

裸足と靴下。
裸足のいちばんの味方は、靴下なのかもしれません。

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